お墓の前に居座る少年と、それを迷惑そうに見守る少女――。誰も見たことがない……かもしれない、異色の物語が幕を開ける!

 奇天烈な設定とコメディ・チックな冒頭から、やがて物語は思わぬ方向へ――。万物の生と死、そして長くも短い“ひと夏”という時間、人と人との出会い、そして別れと再生を描き出す、私の初の長編作品が出来上がりました。2010年4月より卒業制作作品として制作スタート。構想からモデリング、アニメーション、編集までをすべて一人で手がけ、およそ1年を(うち脚本作業に6ヶ月以上)費やして完成させた、実に33分間に及ぶ中篇(自主制作アニメとしては“長編”)作品となっています。

 ポイントは、やはり「お話」。冒頭からは想像も出来ない意外なストーリー展開と○○なラストシーンに至るまで、時間を感じさせないように精一杯の工夫が施されています。もし良ければ、ぜひ最後までご覧頂けますよう、ナニトゾお願い致します。

 また、『じんわり、ショッキングなショートアニメーション』を合言葉に、お話をだいじに制作されてきた過去2年間の私の短篇作品のすべてを1本に繋ぐ、集大成とも言える作品にも仕上がっています。この作品を収録した「ファースト・ビデオ・アルバム」DVD『ヒガンの収録順序で10本すべてをご覧頂くことで、また新たに『短篇作品集』としてお楽しみ頂けるようにも仕組んでいます。こちらも併せて、ぜひ手にとってみて下さい。

 とある郊外の住宅地のそばにある、山を切り開いて作られた墓地。その一番奥のお墓の前で、ひとり墓石に向かって喋り続ける少年が居た。

 彼の名はハジメ。そしてその墓石の裏側には――そのお墓の主、ハジメの幼馴染のヤスミが、ぶすっとした顔で振り返ろうとしていた。ヤスミは、毎日のように自分のお墓に居座り続けるハジメに、いい加減イラついていた所だったのだ。

 そんな彼女の迷惑も届かず、ハジメの行為は次第にエスカレートしてゆく。遂にはお墓の前に、机やら身の回りの道具やらを持ち込み始め、周囲には飾り付けが施され、お墓の姿は次々と変貌してゆく。その様子に、ヤスミは呆れて溜め息をつくばかりなのだった。

 季節は夏。いよいよハジメにも、そしてヤスミにも訪れるはずだった夏休みが近づく。「明日から夏休みだよ!」と楽しそうに話すハジメと、それを聞きながら空を仰ぐヤスミ。ハジメは「明日は朝イチから来るからね!」と約束をして帰路につく。

 ところが、翌日の午後になってもハジメは姿を見せず――。

ヤスミ

ハジメの学童時代からの幼馴染で、お墓の主。特技は三点倒立。
ハジメ

ヤスミのお墓に居座ってしまう。趣味は買い食い。
カンナ

ヤスミのお墓がある墓地に神出鬼没の「ヤスミ側」の女性。
モリ

ハジメとヤスミの中学時代の同級生で、ヤスミの親友。家は駅前のお花屋さん。


■声の出演

ヤスミ:ろね

ハジメ:沼田友
カンナ:七味まゆ味(柿喰う客) (HP)
モリ:蓮華ありさ (HP)
先生:鶴間太郎


■音楽
oo39.com

■監督・脚本
沼田友

本編フル

   

NEW 予告篇

   
32分44秒 / MPEG / Softimage 他
2011
多摩美術大学情報デザイン学科情報芸術コース 2010年度卒業制作作品


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